呪術短編

バスルーム・サンライト

……憂太!これ、運んでいい?」
……あ、うん!……ごめんね、手伝ってもらっちゃって。ありがとう。」

今日は恋人の憂太が任務の事情で寮から出て、近くのアパートでしばらくの間生活をすることになったとのことで………

少ない荷物の運搬を手伝っている。
暫く海外に行っていた憂太の部屋には、ほとんど荷物はない。

戻ってきて、休むことなくまた直ぐに任務らしい。
………さすが特級術師ともなれば、忙しさも桁違いだ。

私の術式は所謂、テレポート。

事前に移動先をマークさえしていれば、呪力を込められる人や物、基本的にはなんでも瞬間移動させることができる。

サクサクと術式を使って高専の寮にある憂太のまとめられた荷物やダンボールをテレポートで運ぶ。

「本当に便利だよね。……名前の瞬間移動の術式って。」
「でしょ〜!いつでも呼んで!憂太は恋人価格でタダで運んであげるから!」
冗談を交えつつ、最後のひとつのダンボールを運び終わる。

「よし、じゃあ憂太と私もアパートに一旦移動しよっか。」
ほい、と憂太に触った。

ビュンッと事前にマークしていたアパートへとテレポートした。

 

**

 

「今日は片付け手伝うよ!あ、……私、その何か晩御飯作ろっか?」
「え、いいの?」
元々今日は荷解きの手伝いがてらお泊まりの予定なのだ。
近くにスーパーがあるのは確認済みだし後で買い物に行こうと決めていた。

「勿論!何が食べたいか考えてて!」
私は憂太にそう言い、ダンボールを開けて荷物を整理していく。

………同棲始める前ってこんな感じなのかな?」
………ゆ、憂太…………しれっとそんな恥ずかしいこと言わないで。」
……ん?そ、そうかな………。僕は高専を卒業したら、したいなって思ってるよ。その……………同棲。」
照れながら憂太がそんなことを言うものだから、私まで照れてしまう。

…………う、うん。………ほ、ほらそれ片付けたらスーパー行こう!」
恥ずかしくてパッと視線を逸らし、憂太を近くのスーパーへと促した。

 

**

 

今日は疲れたし、憂太は準備の簡単な鍋にしようって言ってくれたので、鍋の食材をスーパーで購入した。

具沢山の味噌鍋で締めのラーメンまで二人で美味しく平らげた。

「ふー、美味しかったね。」
「うん。お腹いっぱい。」

「あ、名前今日は泊まっていくよね?お風呂気にせず使ってね。」
憂太と二人で小さなテーブルに置かれた空っぽの鍋を見て、笑い合った。後はお風呂に入って寝るだけ……なのだが。

「ありがとう!……じゃあ、お風呂洗ってくる。私は憂太の後で借りるね!」
「え?」
私が椅子から立ち上がると、憂太に腕を引っ張られた。

「一緒に入らないの?」
憂太はどこか寂しそうな顔で問い掛けてきた。

……え、一緒に入るの………?」
「僕たち何回もお互いのことは全部見てるし……いいかなって思ったんだけどダメ?」

わざとなのか無意識なのか分からないが、憂太はたまにこうしてズルい言い方をしてくる。
こうなるともう、私は頷くしかないのだ。

…………わ、分かった。でも………、なるべく見ないでね」
…………?うん。分かった!」
ニコッと心底嬉しそうに笑った。
本当にわかってるのか?と尋ねたくなったが黙っておくことにした。

 

**

 

「ゆ……ゆ、た………これ、恥ずかし……
「え、これなら見えないから気にならないかなって思ったんだけど。」

一緒にお風呂に入る、というのは予想以上に恥ずかしいことらしい。
二人で小さな浴槽に浸かっているのだが………恥ずかしすぎてどんな体勢で入ろうか悩んでいると、憂太が「これなら!」と、私を背中から抱き締める形で落ち着いたのだ。

だけど―――、これはこれで恥ずかしい。

私の背中に憂太の身体が密着してるし、吐息なんかは首筋に当たってゾクゾクする。

いくらお互いの身体を隅々まで見ているとしても、恥ずかしい。

………名前ってこんなに恥ずかしがり屋だったっけ?」
憂太はどこか楽しそうに尋ねてくる。

……ん、お風呂はまた別なの。明るいし、近いし、……恥ず、かしい……。」
「ふーん?………普段はもっと素直に見せてくれるのに。僕は……君のこういう一面も知れて嬉しいな。」
必然的に私の耳元に憂太の吐息がかかる。

……ッ」
反射で右耳を押さえた。
え、どうしたの?」
憂太は意識していないのだろう。後ろからひょこ、と心配そうに覗き込んだ。

「あ、いや………なんでもな………
憂太は私の耳を押さえた腕を優しく掴み、耳元から遠ざけるように離した。

………この前の任務で怪我……、とかはしてないよね?」
隠すものがなくなった耳元を確認するようにまじまじと見られながら、また話し始めた。

……やっ、ちが………っ」
顔に体温が集まり、肩が小さく震える。

……あ、…………そういうことか。」
憂太は何かに気付いたようで、ふふっと小さく笑った。

ゆ、ゆう………、ひゃっ!」
耳元にふっと冷たい息が吹きかけられた。
………あははは!可愛いね、名前
憂太が満足げに微笑んだ。

………………ッや、もう……憂太、ほんと………海外帰ってきてから何か男らしくなったというか、積極的になったっていうか
「うーん、海外のオープンな雰囲気に触れたからかな?」
……確かに。それもそうか。」
いや、納得させられている場合ではない。
海外に行く前に恋人同士になったのだが、海外から帰ってきた憂太は一皮剥けたというか……

なんだか男らしくなって帰ってきたのだ。
以前のようなどこかオドオドした雰囲気がなくなったというかて。

いいことなんだけど、でも恋人の私の身にもなってほしい。
海外のドラマの恋人たちのように、恥ずかしすぎることをサラッとやって退けるようになってしまったのだ。

そう、まさに―――今回のお風呂のように。

……僕が海外に行っている間、変な虫に絡まれたりしなかった?」
……残念ながらないよ?、全然、モテるタイプじゃないし。」

悠太が突然、首元にがぶりと優しく噛み付いた。

………んう!?」
驚ろきのあまり変な声が出た。

……………ちゅ」

首元に噛み付いたかと思うと、今度は優しくキスをし……………優しく吸われた。

…………へ、ど、どうしたの!?」
日本にいるうちにマーク付けとかないとって思って。」
もし急に任務で海外に行ってって言われても大丈夫なように………と小さく憂太は付け加えた。

………………うん。私の方こそ………つけたい。」
日本より海外の方が心配でならない。

海外の人の方が………オープンだし積極的だし情熱的なイメージがある。

くるっと少し後ろを振り返り、憂太の首元に吸い付く。
「えっ………!」

憂太は予想していなかったのだろう、目をまん丸に見開いて驚いていた。

………僕、嬉……しい。」
……………ん、」
憂太の首元から唇を離した。
ちゃんと自分がつけた痕を見たくて、身体ごと憂太の方へ向き直った。

憂太の顔を真正面から見てドキドキと心が騒ぎ出すも……首元に咲いた赤い痕を見ると少しだけ満足したように心は落ち着いた。

「ねぇ、名前好きだよ。」
………!」

ちゅ、と今度は唇にキスをされた。

……ふぁ……、ゆ………うた………私も、好き」
何とかして自分の思いも伝えると、憂太は私の後頭部を優しく押さえ逃げられないようにした上で、唇をこじ開けられ逃げる舌を執拗に追いかけられた。

……逃げないで。」
…………お風呂でっ……恥ずかっ………

憂太がお風呂の中に片手を突っ込んだかと思うと、私の秘部へ優しく触れた。

…………キスだけでこんなになっちゃうの?……心配だなぁ。」
……やっ……っあ、」

そっと秘部の突起を摘ままれ、素直に感じてしまう自分が悔しい。

……背中向いてるから分かんなかった?僕のはずっとこんなだったよ?」
憂太が私の手を取り、自分のソレへと触らせるように持っていった。

……え、わ、……あ」
大きく主張しているそれに、どう反応していいかわからずどもってしまった。

「ねぇ、今日は……ここでしよっか?」
…………!」
憂太はギラついた獣のような目で…………私を見た。

まるで有無を言わせないような、強い眼差しのその瞳に…………

私は小さく頷くので精一杯だった。

 

**

 

「んっ、んぅ…………やっ、ふぁぁんっ」
お風呂の壁に手をつき、後ろからガツガツと突き上げられる。

憂太は普段優しくて穏やかなのに、こういうことをしている時は、どこか戦闘中のような……

どこか獣のような一面が見え隠れするのだ。

欲望に呑まれてしまっているというか………
これが彼も術師として充分イカれているということなのだろうか。

…………名前気付いてる?」
……………………え?」

憂太は自分の指を私の口の中へと突っ込んだ。

……っあ………ん、……んんっ」
口の中に入れられた指がばらばらに動き、舌を弄ばれる。
私の口元からは上手く飲み込めなかった涎がだらりと垂れた。

……そうやって………、男を煽るのが上手いよねッ」
……や、………っちが…………んっ、あ」

舌が自由に動かせず、上手く言葉にならない。

憂太はその間も腰の動きを止めることはなく―――

………ごめ、もう無理かも……ッ」

と子宮の入り口あたりで白濁を吐き出したのだった。

………っは、っはぁ……
……大丈夫?……湯中りしちゃったかな?」

憂太は、体に力が入らず崩れ落ちる私を倒れないように軽々と抱き抱えてくれた。

………ん、憂太………大丈夫、腰抜けただけだから…………意識はちゃんとしてるよ。」
体に少し力を入れ自分の力で立つ…………と、憂太は少し安心したように私の体を秘め抱きにした。

……えっ?」
…………僕、まだ元気だから…………その、もう少しだけ付き合ってくれると………嬉しいんだけど。」
憂太はお風呂から上がり、タオルを引っ張ってそのままベッドへと移動した。

………も、憂太…………まだ………足りないの?」
「足りるわけないでしょ。………毎日ずっとずっと名前とシてたいくらいだよ。」
ベッドに寝かされた後、ちゅ、と優しく額にキスを落とされた。

………寮から出るの面倒くさいなって思ってたけど、こんなことならずっとアパート暮らしでもいいかもしれないや。」

……ば、馬鹿言わないでっ………身体持たないに決まってるでしょ………。」

憂太のおでこに軽くデコピンで返すと、苦笑いが返ってきた。

…………なるべく負担かけないように頑張るよ。」
憂太はそのまま覆いかぶさってきて、アパート生活初日はこうして幕を開けたのだった。